2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧
彼岸が夜の岸なら、昼の岸は此岸だろうか。そのあわいを開示する詩集、と言ってもよいかもしれない。〝生活〟から断絶してはいないが、日常的な次元からは飛翔している、緊密な詩行。 孤高の戦いを一人で挑み続ける者の静けさと覚悟が印象に残る。決然とした…
『女性・戦争・アジア』の、広範で膨大、一つ一つの項目を突き詰めて考えていく高良留美子の仕事に圧倒されながら、関連書を繙きつつ、少しずつ読み進めた。高良氏の知識量と思索の深さはもちろんのことであるが、大きく包括的にとらえたり、異なった側面か…
多彩な版画のような装画がとても美しい、ハードカバーのずしりと持ち重りのする一冊。レイアウトには十分な余白があるが、ぎっしり詰まっている詩集だというのが第一印象である。17行詰めなので見開きの文字数は多めの印象だが、視覚的な要因よりも、作品数…
少し縦長の判型、モノクロームの銅版画風の装画を辛子色の幾何学模様で縁取ったモダンなデザイン。透き通った青い鉱物をコラージュしたカバー装画が印象に残る。2010年の『孵化せよ、光』から数えて本作で8冊目となる加藤の詩集はすべて長島弘幸がデザインし…
薄氷を切り出した薄片に青い血が滲み広がっているような、中川セツ子による印象深いカバー装画。詩集タイトルは漢字を英文の筆記体のようにデザインしたユニークな書体で、金の箔押しとなっている。文字デザインは長野美鳳。カリグラフィーの素養のある方な…