詩の中庭

日々の読書、詩集や詩書の書評、覚書など。

2021-11-07から1日間の記事一覧

『ふづくら幻影』長田典子詩集(思潮社2021.9.1)感想

やわらかな銅版の装画に見入る。秋、実りと共に立ち枯れたつる草とその実をついばむメジロの繊細な像が、仄暗い草葉の重なりへ、その向こうへと誘いこんでいく。その上に平仮名で記された、ふづくら、の文字。帯文に失われた土地の名、とある。(装画 武田史…

『よろこびの日』和田まさ子詩集(思潮社2021.6.30)感想

藍色から浅葱のグラデーションを経て白地に青の幾何学模様と山吹色の光。朝の訪れを連想する装画が美しい(装幀・装画 井上陽子)。 帯に〈生きて帰ってきて さて、どうする〉とある。大病から生還したのだろうか?目次を見ると四章立て。一章の章題「苦い蜜…